オーディオ雑記~レコード再生の工夫2~

 この夏は、色々な名曲喫茶に伺いました。オーナーの嗜好を垣間見ることが出来るような納得の音や、純粋に美しい音楽を堪能させていただいたところもあれば、ブログにアップしていませんが、正直、あまりパッとしなかった(失礼)ところもありました。

 ところで我が家の音はどうなったのか。細かな工夫の積み重ねをしてきましたが、今回は大きく変わったことが実感できました。私の30年前のオーディオの常識では、レコード盤はターンテーブル(シート)に密着していることを理想としていて、ゴムや金属のすり鉢状のシートと重量級のスタビライザーを組み合わせ、レコードの反りを強制&シートに密着させるアクセサリーが出回っていました。

 結局、我が家では高価な金属製ターンテーブルシートやスタビライザーの導入には至りませんでしたが、アナログブームが去ろうとしていた末期に、現品限りの吸着ポンプ付のターンテーブルシートを購入しました。しかし、パッキンのゴムの劣化か、レコード片面を聴き終わると、既に浮き上がってしまっていたという残念な結果でした。

 我が家のプレーヤーに付属しているターンテーブルシートは、ブチルゴム系で、30年間、ずっとすり鉢状だと信じていたのですが、定規を当ててみると見事に真っ平ら。今回の工夫のきっかけは、このシートの外周に噛ませ物をして、シートをすり鉢状にし、スタビライザーと組み合わせて密着させようということから始まりました。

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▲ターンテーブル外周部分に浅い溝があるので、そこにφ2のシリコンゴムを挟んでみました。この上に付属のゴムシートを敷きます。

 これは、すり鉢というより、外周部のエッジが急激に立ち上がっていて、レコードが密着しているのか、外周部以外が浮いているのか、よく分かりません。音は外周ではしっかりとしたような感じですが、内周ではなんか違ってきているような・・・そもそもレコードは内周の方が再生が難しいし・・・うーん・・・

 そこで、今度は逆転の発想です。これはオリジナルの発想ではなく、最近読んだオーディオ誌のアナログ特集で、レコードをシートから浮かしている評論家の方や、オイルフロート式のトーンアームで話題のヴィブラボラトリー製のターンテーブルシートでエッジ部分だけでレコードを支持するタイプのものがあるのを見て、最近のトレンド(?)はこれか! と思ったわけです。その他にも密着タイプのシートで、わざとホールを設けて、空間をつくるものもありますね。

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▲φ2に変えてφ5のシリコンゴムにします。この上に直接レコードを乗せ、これに軽めのスタビライザーを組み合わせます。付属のゴムシートは使いません。

 結果は・・・! 驚きの変化です。上も下もレンジは広がり、弦楽器の音には艶が乗り、低音楽器は適度に締まり、一段低い倍音を響かせてくれます。今までホールトーンに包まれて、明瞭さを欠いていた感じのレコードも、解像度が上がったのが分かります。しかし! 良いことばかりではありません。レコードの乗せ方によっては、シリコンゴムひもがずれてしまい、レコード盤が波打ってしまったり、シリコンゴムひもの切り口の部分がどうしても綺麗に収まらず、ついには針飛びしてしまう始末。シリコンゴムは両面テープも着かないので、対策が思いつきません。

 うーん、なんとか安全に、見た目もそれなりに、そしてこの音を損なわずに工夫できないものだろうか。ということで、色々考えた結果が滑り止めのゴムパッチです。少ない方が見た目は良いので、最初は12個をターンテーブル外周に均等に貼り付けます。早速、レコードを乗せて試聴です。

 おっ! 良いではないですか。と思ったもの束の間、ウーファーがゆらゆらと大きく振幅しています。これはレコードが反ってる印。

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▲目視では、綺麗に回っているように見えるので、ダイヤルゲージで測ってみます。パッチとパッチの中間とパッチの部分で2/10~3/10ミリの差がありました。

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▲それではと、3倍の36点で支持してみます。この上に直接レコードを乗せます。

 見た目はともかく、これは良いです。上下にすっきりと抜ける音はそのままに、ウーファーの揺れも許容範囲といった感じです。様々なレコードを聴き直し、楽しんでいます。
 もう少し、中高域にメリハリがあると良いなと思っていたところ、うっかりスタビライザーを乗せ忘れ再生された音が、見事にこの問題を解決するような音を出してくれました。ところが、良いことばかりではなく、静けさに染み入るような繊細な演奏では、少しうるささを感じてしまいます。ここの妥協点を探すために、現在スタビライザーとレコードの間に挟んでいる革パッキンの素材と大きさを色々試しています。

注:レコード再生は繊細な部分があります。装置やレコードの破損、損傷の恐れがあります。お試しの際は自己責任でお願いします。
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オーディオ雑記~名曲喫茶訪問4~

2017.8.19
 立て続けに行きまくっている名曲喫茶。今回は隣町、松戸市にある「ふぃあてるぱうぜ」に行ってきました。こちらはジャズ喫茶ということですが、HPを見ると、オールドJBLのアポロとLE8Tの他に、タンノイを置いてあるとのこと。ジャズ喫茶にタンノイ?という不思議さが、こちらへの来店理由となりました。

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 じっくりと音を聴いてみたいところですが、お店の方と話もしたくてカウンターに座ります。旦那さんは奥で支度中でしたが、奥様と色々と話が出来ました。20年前まで新松戸で店をやっていたそうで、その時の写真を見せてもらいました。なんとJBLパラゴン!の両脇にタンノイGRF! さらにJBL4350(だったかな?)と名機といわれる大型スピーカーのオンパレードです。日替わりでジャズとクラシックをガッチリ鳴らしていたそうです。「今は会話の邪魔にならない程度、でも聴こうと思えばそれなりに聴ける、そんな音作りを目指してます。」とのこと。

 お店に入って、まず目に入ってくるのがアンプ類です。意外なのがラックスマンの名機SQ38FDがあるじゃないですか。さらにマッキンのプリC29とパワーMC2255のセット。ほかにラックスマンの現行プリメイン507もあり、そのすべての電源が入っていました。来店時はSQ38FDでタンノイを鳴らしていました。リクエストを聞かれたのですが、「ジャズは詳しくないんで、女性ボーカルかテナーサックスをお願いします。」ということで、スローな女性ボーカルものを掛けていただきます。音源はCDです。

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 アンプをマッキンに切り替えます。くせがなく自然に、しかしとても綺麗に、本当に美しい声を聴かせてくれます。スピーカーをアポロに切り替えます。一気にレンジが狭まり、ビンテージな雰囲気に空気が変わります。しかし、すぐにそんな違和感はなくなり、しっかりセッティングされたJBLの音を楽しみます。カラっとというよりザラっと?ドライな音ですが曲調がウォームな感じなので、絶妙なバランスで聴き入ってしまいます。

 全く違う音が楽しめる「ふぃあてるぱうぜ」。今回はアポロを中心に聴かせていただきましたが、タンノイの音があまりに素晴らしかったので、帰宅後に調べてみました。奥さま曰く「今はこんな小さいシステムで・・・」なんていわれていましたが、タンノイDC10A、10インチの同軸ユニット1発の細身のトールボーイですが、現代版タンノイのディフェンションシリーズの中でも特別な存在で、メーカーとしてもかなりの拘りをもって作られたようです。会話の邪魔にならない程度に・・・随分謙遜されていますが、とんでもない拘りと、使いこなしがなされていそうです。

オーディオ雑記~名曲喫茶訪問3~

 ここのところ、立て続けに名曲喫茶というのかオーディオカフェというのか、こういったところにお邪魔しています。こう暑くてはバイクでツーリングっていう感じではないし、家にいても暑さに感けてダラダラ過ごしてしまうので、この機会に色々と聴きに行ってみよう!と思っています。

2017.8.9
 今回お邪魔した「ソナーレ」は少し趣が異なります。こちらの主体はあくまでオーディオ。喫茶店やレストランではなく、良い音楽を聴く空間を提供し、そこにコーヒーが付属してくるといったお店?です。HPを見るとちょっと敷居が高そうですが、現代のいわゆるハイエンド・オーディオを体験したくて伺ってみました。

 住宅地の中にある普通の民家といった感じの玄関チャイムを押して、迎えていただきます。靴を脱いで(店というより)家のなかに上がって行きます。入ってすぐのリビングがオーディオルームです。そこにはソナスファベールの最上級機ストラヴィバリ・オマージュをはじめ、溜息が出るような超高級オーディオがセットされていました。音の前に、どの製品も大変美しい躯体です。

 不意打ちのように平日に開店時間に合わせて伺ったため「まだ、なにも準備ができてないんですよ~」と慌てて準備してくださいました。こちらでもバッハの管弦組曲第2番を掛けて頂きました。少しして来店された常連さんと一緒に聴かせていただきます。さすがじっくりと煮詰められたハイエンド・オーディオ。決して大きくなりすぎない管弦楽団の規模感で、繊細なアンサンブルを聴かせてくれます。そして出るべきところでブン!を鳴るコントラバスの低音が気持ちよさを加速させます。

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▲スピーカー以外もこだわりのハイエンド機器がセットされています。詳しくはお店のHPを。

 続いて明るめのオケとしてメンデルスゾーンをリクエストしますが、あまり良い盤がないとのこと。こちら「ソナーレ」のオーナーさんはオーディオはもちろん、クラシック音楽、レコードにも詳しく、盤も外盤でオリジナル盤も多く所有されています。ちなみにバッハはカール・リヒターのオリジナル盤です。「ブラームスはお嫌いですか?」と聴かれたので、ここでもまた「ブロッサム」来店時と同じく4番をお願いしました。

 こちらで用意していただいたブラームスの1から4番のシリーズはとても貴重な盤だそうで、その中でも4番はひときわ高価なのだそうです。「録音はRIAAカーブとのことですが、どうも違うのでは?との疑問もあるんです。」とのことで、イコライジングカーブを変更しながら聴いてみます。ちなみにイコライザーはFMアコースティック製!です。音楽を聴き込むならRIAAカーブのハッキリした音、雰囲気を楽しむなら変更したカーブ(何カーブかは分かりません)の豊かな低音を中心とした大らかな音と感想を述べましたところ、オーナーさん曰く「RIAAカーブじゃない方は、少しハイ落ちですね。RIAAカーブの方がバイオリンが艶やかですね。」、常連さん曰く「なかなかどちらかに決められませんね」とニコニコと感想を述べ合いました。

 またしても重たい2曲が続いてしまったので、ここからはおまかせで軽め?の曲を掛けていただきました。最後にイタリアのスピーカーにはイタリアの音楽が合うのでは?との私の提案にヴィバルディの四季、貴重なモノラル盤をかけて頂きました。

 モノラル盤の魅力は演奏の素晴らしさと密度の濃い音(という説明だったと思いました・・・記憶が曖昧です)とのことですが、残念ながら、私のような若輩者にはハイ落ちの音バランスで、密度の濃さは息が詰まったような圧迫感となってしまい、素晴らしさを感じることはできませんでした。しかしながら前回の「コンコルド」をはじめ、ステレオの音に説得力を感じられないというモノラルファンも少なくないようです。

 「ソナーレ」の音、味とか雰囲気で聴かせるといった感じではなく、まさに盤の情報を忠実に、質感高く再生するハイエンドという言葉から予想される通りの繊細かつダイナックな音を堪能させて頂きました。

※土日は要予約となっています。来店時の注意など、HPで確認してください。

オーディオ雑記~名曲喫茶訪問2~

2017.8.6
 この前の房総半島縦断ツーリングの目的地として行った館山のレストラン「コンコルド」。ここのオーナーは、オーディオマニアの中でもコアな真空管アンプ、さらにその自作をされる方々にとっては正に神さまのような存在の佐久間駿氏なのです。

 氏に関する記述は、ネットでも上がっているので、詳しくはそちらを見てもらうとして、我が家にある30年以上前のオーディオ誌にも氏の記述された制作記事が載っていました。単なる制作記事とは違う独特の文体は、アンプの自作をしたことのない私でも何回も読み返してしまいます。最近買った雑誌にも氏の制作記事やレストランで行われたアンプ試聴会の記事が載っており、まるで芸術家を彷彿させる風貌は、神経質で気難しそうなアンプビルダーという先入観を持ってしまいます。

 しかし、こうしたところでも臆せず、訪ねて行ってしまうのが私です。開店時間に合わせて来店しました。薄暗い店内には今まで制作された沢山のアンプが所狭しと並んでいます。アンプやスピーカー、様々な部品などが雑然と置かれた店内は、どう見ても普通のレストランとは異なる趣ですが、当の佐久間氏はこちらの先入観とは違い、大変気さくで話好きな方でした。

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 唯一のメニューであるハンバーグを頂いていると、常連さんがひとり来店してきました。佐久間氏と常連さんとのやり取りから、オーディオ誌で発表したばかりの、レコードからCDまで再生可能という大型管845を使用したプリメインアンプの試聴が始まりました。ここのシステムは全てモノラルで色々な場所に置かれたどのスピーカーが鳴っているのかよくわかりません。通常のオーディオマニアの部屋のように音場空間に配慮したスピーカーの配置といったことは全く考慮されていない様子です。こちらの再生システムは全てモノラルとなっています。

 KT66ドライブの845アンプの奏でるスローなジャズは、テナーサックスの分厚い音色がとても心地よく響いていました。ここの音も、レンジの広がりなどオーディオの性能を追及するといった感じではなく、気持ちに訴え掛ける音?というのでしょうか。私のような若輩者では、こういった音の存在を知らなければ、自らこういった方向性を見出すことは出来ないと思ってしまいます。やはり人生経験の差なのでしょう。

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 印象的だったのは、トランス結合にこだわり、巨大な真空化アンプ(試聴したアンプは重量40kgを越えます!)を数々制作されているのに、外部配線にはなんてことのない普通のRCAコード、プラグが赤、白、黄とあることから、恐らくビデオデッキなどのAV製品に付属してくるヤツでは?というようなものを使っていたことです。隙がありそうで、実は中々攻められない達人の域といったところでしょうか。次回は是非、有名な樽入りローサーを聴いてみたいです。

※写真は佐久間氏の了解を得て撮影しました。店内が薄暗く写りが今いちです。

オーディオ雑記~名曲喫茶訪問~

 去る7月22日に越谷市にある「ブロッサム」という音楽喫茶(というのでしょうか)に行ってきました。ジャズ喫茶というのは、ちょくちょく耳にしますが、ここはクラシックを中心にジャンルにこだわらず、いろいろな音楽を聞かせてくれます。

 ここには牛乳ビンのような巨大な真空管845を用いたオリジナルのアンプでタンノイのオートグラフ・ミレニアムを駆動させています。オーディオ装置が奏でる音というのは、オーナーの嗜好であると思っていますので、今まで、よそはよそ!うちはうち!と思って、よそ様の音には余り関心がありませんでしたが、単純にオートグラフの音が聴いてみたくて訪れてみることにしました。

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 2重のドアを開けて入る店内は30畳の広さに5mを越える天井高の完全防音で、コーナー型であるオートグラフのための贅沢な造りとなっています。お客は私ひとり。入店すると、オーナーである穏やかな老紳士が迎えてくれます。そして真空管アンプの電源をいれます。コーヒーとケーキをオーダーし、アンプが温まってくると「何かリクエストは?」と聞かれました。

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 この日、私が掛けていただいたのはバッハの管弦組曲第2番とブラームスの交響曲第4番というかなり重い曲をリクエストしました。管弦組曲の第一声が鳴りだしたとき、私は戸惑ってしまいました。何故なら家で聴くのとは、まるで違う曲なのです。これが管弦組曲なのか? まるで宗教音楽のような重厚さ、重々しく、暗い音です。更に渦巻く低音の圧倒的なボリューム感が迫ってきます。

 これは、装置の違いだけではなく、こちらではリヒター指揮のものを、我が家ではガーディナー指揮のものといった演奏者の違いもあるようです。(我が家でもマリナー指揮のものは、近い雰囲気でした。)次のブラームスも同様に重々しい空気感を伴った低音をベースに積み上げられた音がオーケストラの迫力を感じさせてくれます。かなりの大音量ですが、全くうるさくありません。 

 こちらの音を聴かせてもらうと、良い音とは何だろう?と考えてしまいます。私の好みはやはり我が家の音なのですが、音像や定位、解像度といったオーディオ的な表現性とは違う、音場空間全体がひとつになって醸し出す再現力に浸っていました。この音は、オーナーが「音楽」を感じるために求めた音であり、「音楽」をより深く感じるためには、聴き手にも様々な人生経験が必要なのかもしれません。またお邪魔したいと思います。

※写真はオーナーのブログ、お店のHPから借用しました。店内のレイアウトは若干変更されています。
プロフィール

ゆたか

Author:ゆたか
バイクに乗って走り回ってます。
楽しかったツーリングのことや、
革細工のことを綴っていきます。

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